弊社のお客様でも増えている海外ノマド、
リスクを取って自分の人生を掴もうとしている方が
遠回りしないように応援したいので、
海外法人を設立する前にチェックすべき3つのポイントをまとめました。
①都合よく租税回避できると考えていないか
節税はたしかに海外法人を設立する大きな動機です。
しかし、低税率国に法人を設立すれば、直ちに節税できるわけではありません。
入金も出金も法域を跨ぐ国際取引ですので、
登記国の税制、口座開設国の税制、日本の税制、居住国の税制、
さらには法解釈と実務のギャップの問題が、想像以上に複雑に絡み合います。
都合よく、自分はパーマネントトラベラーで、法人も海外収益非課税だから、
グローバルで税金ゼロになると思っていると、複数の法域から二重課税されて、
泣き寝入りすることになります。
小規模業者が、複数の政府に対して、
払いすぎた税金を後から取り戻すための調整をするのは、現実的ではありません。
正しいステップは以下のとおりです。
- 自身の税務上の居住地を適正に把握する
- 必要不可欠な入金元と出金先を抽出する
- 関係国間の法例を調査する
- リスクが小さく、融通の効くスキームを選択する
- スキームの実行に必要な取引書類を過不足なく準備する
これらを自力で進められなければ、早めに弊社のような専門家に相談してください。
また、会計の基礎知識(できれば税務会計の考え方も)をつけておくだけでも、
自分や素人業者が考えた都合良すぎるスキームの欠陥に気づきやすくなりますし、
専門家から良質なノウハウを吸収する効率を格段にあげられます。
②安さの代償を受け入れる覚悟はあるのか
スタートアップビジネスで初期費用と固定費を抑えたいのは当然の発想です。
スタートアップ向けに安くサービスを提供する業者も殆どの場合、悪意がありません。
しかしこの2つが組み合わさることで、地味に毎年数十万円固定費がかかるけれど、
全然使えないインフラが出来上がります。
- 匿名性を上げたいのに、本人確認情報を全部提供しなければならない
- 追加書類と費用ばかり増えて、一向に銀行口座が完成しない
- 作った銀行口座が審査やコルレス契約の関係で、取引相手と送金入金できない
- オンラインビジネスなのに決済代行サービスが契約できない
- 信用がなくてクレジットカードが作れない
- 送金・換金・為替手数料が高すぎて収益を圧迫する
などなど、枚挙にいとまがありません。
対策はまず相場を知ることから始めましょう。
事業内容によってもちろん価格は変わるものの、極めて荒く一束にまとめると、
海外法人スキームのランニング費用の相場は、各種手数料込みで、売上の5%です。
これを予め予算に折り込んでください。
そして、その相場から大きく下に振れるサービスで出会ったときは、
飛びつく前に、安全性・利便性に問題がないか確認し、
自分が妥協できるものかどうか、バランスを取ってください。
安いサービスは大抵が後進国の外貨獲得政策と連動していて、
事業も生活も現地に根ざしてやっていく方にはメリットがありますが、
世界を転々とする海外ノマドにとって使い勝手が微妙な場合が多いです。
③資産運用まで意識を回せているか
市場が成長するタイミングに敏感に反応し、才覚と努力で資産を形成できたとしても、他のビジネス同様類にもれず、いつかは衰退期が訪れます。個人・数人が短期で積み上げた価値は、伝統的な産業に比べて、時間の経過に耐えるのが難しいかもしれません。
成功体験があるのでそのあとまた別の事業をやればいいんじゃないかと思うかもしれませんが、情報、人材、資金、設備等のリソースが少ない中で、連続起業を何度も成功させるのは至難の業です。
もう元手があるわけですから、成功した事業の収益成長率が落ちてくる前に資産運用のやり方を覚えて、継続的に安定収益があがる仕組みを作るほうがよほど楽です。
海外法人設立をサポートしてくれる業者が、資産形成から資産運用と資産保全へ連なるスキームとチャネルを持っているかどうかは、長期的視点にたてば、海外法人と口座を作れるかどうかより遥かに重要です。(ハイリスク投資商品を高く売るために、安く海外法人を設立するところは要注意です。)
以上、海外ノマドの方が、
海外法人を設立する前にチェックすべき3つのポイントについて説明しました。
少し長いですが、一度自問自答してみてください。
それだけでも遠回りが大分と減るはずです。