オフショア法人や香港法人に特有の、名目資本金制度およびノミニー制度を活用して、資金を実質の(真の)株主の金融資産を担保とした借入金で調達するスキームがあります。
これは日本に居住するお客さんにとって、租税回避する上で、大変メリットが大きいスキームでした。
真のオーナーをかなり分かりにくくすることができ、また「株式の保有」を課税基準においているタックスヘイブン対策税制にも”形式上”対応することができたからです。
これをウリにしていた海外法人設立代行業者の方々、ネタバレしてごめんなさい。
しかしながら、2016年3月より、国外資産調書制度が本格的にスタートしますので、個人資産で上記スキームを用いている方は、十分注意する必要があります。
国外資産調書制度とは、
日本の居住者(非永住者を除く)で、その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する場合には、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した調書を、その年の翌年の3月15日までに、所轄税務署長に提出しなければならないという国税庁の定めた新たな制度です。
国外資産調書制度に従えば、国外の資産すべてについて申告しなければならないため、海外で保有する株式に限らず、貸付金債権も含みます。そのため、オフショア法人の取得価格(出資額)がほぼゼロであっても、貸付金債権を考慮してオフショア法人の時価で申告しなければなりません。
特に昨年、日本との二国間租税条約が発効したイギリス領ヴァージン諸島(BVI)については調査が厳しく行われる見込ですので、心当たりのある方は、心づもりをしていたほうがいいと思います。
これから対応して間にあうかどうかはケースバイケースですが、合法的な手がないわけではありません。
一度ご相談ください。