海外法人を活用して、事業上の、投資上の、税務上のメリットを合法的に享受する方がいる一方で、非常に残念ですが、脱税、粉飾決算、マネーロンダリング、詐欺、横領に利用する者が少なからずいるのも事実です。
こういった者に対して国際社会が、一丸となって包囲網を築きつつある一方で、罪の無い一般の方にまで疑いの目が向けられるようになりました。口座開設のハードルが年々上がり、採算の取れなくなったオフショアバンクの事業撤退などが顕著なデメリットと言えます。
しかし、より大きな潜在的なリスクとして、うまく海外法人を設立し、法人口座を開設できても、取引先にオフショア法人があった場合(特に貿易、投資に多い)、彼らが上の違法行為を働けば、お客さまの海外法人に対しても、法人登記国を通して、不正調査が入ることが挙げられます。
私自身のお客さまでこのようにトラブルに巻き込まれたことはないですが、業界に長くいれば、少なからずこのような残念な噂話を耳にします。
そのため、弊社で法人を設立されたお客さまへは、それぞれの取引形態においてどのようなリスク管理方法や予防体制が望ましいのか、また、いざ不正調査が入った場合はどのように振舞えばいいのか、事前に説明していこうと考えています。
君子危うきに近寄らずということわざがあるとおり、怪しい取引先には近づかないのが一番ですが、不慣れな海外で海千山千の詐欺師に100%騙されないとも限りません。
海外慣れしている自分には関係がないと思っているあなたが一番、危ないかもしれません。