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マカオ法人とカジノ その4 - カジノマネーはどこへ消えた?

前回:マカオ法人とカジノ その3 - 中国返還とカジノ観光都市の誕生 - 海外法人サポートセンター

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前回、観光客増加と外資カジノ解禁がマカオを世界一のカジノ都市にしたと書きました。もちろん、この観光客が純粋にカジノ体験や世界遺産めぐりを目的としている場合もありますが、そうではない場合も多々あり、むしろ客観的にみれば後者のほうがカジノの成長に貢献したと言えます。

 

平たく言えば富裕層や官僚が合法違法に得た収益の海外移管のために、カジノを活用したため、カジノの売上が大幅にかさ増しされたということです。カジノの匿名性、途上国特有の監督管理のゆるさが、移民ビザ取得や海外不動産投資を行ないたい人達にとって格好の口実になったのです。

 

とくに中国で政権が変わる節目であった2012年末2013年初めには、政権交代によって既得権益が損なわれる恐れのあった官僚や起業家たちが資産の国外逃亡を図ります。ハンドキャリー、香港法人・マカオ法人の活用、カジノ内宝石商・質屋およびクレジットカードの活用、地下銀行を通した送金などを通して、為替管理制度を回避してマカオに持ち出されたお金によって、カジノ各社は空前の利益を叩き出しました。

 

しかし、政権が交代すると、富裕層はマカオへの渡航をためらうようになります。2014年には、マカオのカジノ収益は市場開放後初めてのマイナスを記録しました。一つは新政権の腐敗防止政策によって、グレーな資金をマカオへ持ち出すのが難しくなったこと、そしてもう一つは、マカオ政府によるカジノの監督強化によって、さまざまな記録が少しづつだが残るようになったことが理由にあげられます。

 

マカオへの観光客数、カジノの利用客数が大幅に増え続けているにもかかわらず、カジノの売上が落ちているということは、それまでマカオのカジノを通した資産隠蔽がどれほど大きなものだったかを物語っています。カジノが公開している売上推移と利用客数などの情報に基づいて計算するだけでも、ざっくり年間2兆円前後のお金がカジノを通して中国国外に消えていったと言えます。

 

これから、マカオのカジノは少なくとも表向きはより大衆向け、本来の観光客向けのサービスに転換せざるを得ないでしょう。カジノを通したお金の流れも透明化されることは必至です。中国の富裕層がマカオに遊びに行く時は、運び屋かのごとく戦々恐々とするのではなく、家族と一緒に世界遺産を楽しめる時代が来ました。

 

もちろんこれは、中国富裕層の資産隠蔽が減ることを意味しているわけではありません。目からウロコの、しかもクリーンな方法が、日に日に開発されているのです。恐るべしです。

 

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