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独立話 その1 - プロフェッショナルファーム時代

今から10年ほど前、私が、その頃はまだ珍しかったプロフェッショナルファームで働いていたとき、お客さんに提出する公式資料のみならず、メールなど文面でのコミュニケーションにおいても、一言一句の正確性に最大限の注意を払っていました。誤字脱字は論外、専門用語の説明は各国の法律の定義を丸写し、典拠は必須でした。

そのときのお客さん側の担当者さんも、国際税務の基礎知識、少なくともプロジェクトに関する基礎知識を持った上でコミュニケーションを取りますので、知識の正確さで負けるようなことはプロフェッショナルとして許されませんでした。最新型の攻めのスキームを提供するのが仕事ではなく、お客さんの知識の正確さの再確認、お客さんの腹案を専門用語と会社の看板の信用で裏付けすることで、社内展開したり、税務当局と交渉に臨みやすくするのが仕事だったと言えます。

それでも最初の数年は、会社も、同僚も、扱う業務内容も、社外のステークホルダーも本当にグローバルで、学ぶことも多く、刺激的な毎日を送れていました。

しかし、慣れてくると嫌なところにどうしても目についてしまいます。お客さんの損益のシミュレーションをしながら、何年も赤字を垂れ流しているのだから、小数点以下の税率を調整するために、グローバル税務戦略の分厚いマニュアルに高いお金を払うより、ぶっちゃけもっと他にやることあるでしょう、と思ってしまう自分がそこにいました。そうなってくると、もうダメですね。お客さんにとっても自分にとっても。

 

時が流れ、オーナー社長さんや、専門職(で独立されて)で相対的に収入に恵まれている個人の方がお客さんとなったとき、私は、知識の正確さよりも、お客さんが理解できる単語や図を用いることを意識するようになりました。ロジックや表現の正確さよりも、お客さんの要望に合いそうな攻めのオプションをいくつか作り、リスクと費用とメリットをざっくり理解していただくことを重視するようになりました。お客さんの目標は、目下の金銭的利益であって、再現性のある弊社のノウハウであって、弊社と専門知識を争うことでも、弊社の揚げ足を取ることでもないからです。

しがらみにとらわれることがなくなり、お客さんが本当に必要としている商品を開発し提供できるようになりました。その意味で、ほんとうのプロフェッショナルとしての喜びを、仕事を通じて味わうことができました。よくも悪くもルーズな時代でしたので、アクロバティックな仕事をたくさん経験することができました。

 

が、ものごとはそう都合よく運ばないもので、楽しいことばかりは続きません。ファームに在籍していたときには思いもしていなかったトラブルにいくつも見舞われました。

 

つづきは後日また書きます。

 

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