前回の続き⇒
ノミニー特集も20回目になりました。
海外口座情報透明化の国際的な流れは、ノミニーの仕組みに対しても「変わること」を要請しております。語弊を恐れずに言えば、昔ながらのノミニーは骨抜きされてきたということになります。多くの海外法人設立代行業者がノミニーサービスの提供を縮小させている現象は、昔ながらの、汎用性が高い安価なノミニーが無用の長物になったことを物語っています。
しかしこれはノミニーの終焉を意味するわけではありません。汎用性の高いノミニーが役に立たないことを、裏返して捉えるなら、専用性の高いノミニーが必要になってきたということです。
匿名性を高める目的が資産保全の場合と、事業主体のリーガルリスク低減の場合と、ブランディングの場合とでは、ノミニーに求める機能は元から異なります。汎用性の高いノミニーで都合よく必要な機能をカバーできないなら、別な形で補強すればいいだけの話です。
これには、ノミニーのスキーム自体を複雑化させることや、銀行ふくめ取引先との契約条件を変えることが含まれます。
ただ、専用性の高い機能を実装するわけですから、費用は当然に上がります。
費用が上がれば、持ちこたえられずに脱落する方が出る一方で、豊かな財務基盤を持っている者にとっては、高機能のノミニーを実装し、さらに有利に競争を進められるようになります。