前回のつづき⇒
関税プランニングを行う目的は輸出向けのコストを下げることであり、
必ずしも輸出向けの価格(売価)を下げることではありません。
輸出向けのコストは、物流関連コストと反ダンピング関連コストが上乗せされるため、
一般に国内向けのコストより高くなります。
関税プランニングは、この2種類のコストが一番安くなる組み合わせを探し、
輸出向けのコストを国内向けのコストに近づけるための業務になります。
製造原価に基づいて貨物価格と課税価格を評価することに、
一定の関税抑止効果があるため、
メーカーも、貿易会社も、この原価基準的アプローチに引きづられて、
ついついコストにマークアップして、売価を決めてしまいます。
たしかに、
コスト+マークアップで売価を決めて、
関税プランニングでコストを抑えて、利益を増やす考え方は一見シンプルです。
しかし、国際ビジネスにおいて、売価は本来、
製品の顧客知覚価値・使用価値、競合価格、為替、
そして裁定侵食(並行輸入)を考慮して設定されるべきものです。
(*厳格な原価管理を求める一部製造業除く)
これら要素を考慮する目的は、
利益を最大化できる販売数量と価格の組み合わせを見つけることです。
低価格販売すればシェアが拡大するわけでも、利益が増えるわけでもありません。
販売数量と価格をうまく調整することが、
シェアと利益のコントロールに直結するのです。
関税プランニングによって、輸出向けのコストを下げられたとしても、
価格(売価)を据え置くことも、価格(売価)を上げることも、
十分選択肢になりうるのです。
あるプロジェクトで、
関税プランニングが国際プライシングの上位概念として
知らず知らず話が進みそうになっていたので、
類似ケースもあるのではないかと思い、掲載させていただきました。
少しマニアックな抽象論になってしまいましたが、
弊社では税務コンサルの一環として関税プランニング、
経営コンサルの一環として国際プライシングのいずれも提供しております。
実際の業務においては、いずれも一般論をお話するだけでなく、
①データ収集→②データ分析→③収支モデル作成→④実行プラン作成と
科学的なアプローチでサービスを提供しております。
お客様も弊社もリソースを割いて数ヶ月かけて
プロジェクトを進めることになりますので、
真剣に検討されたい方のみ、以下メールよりご連絡ください。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com