海外法人を設立するための、必要最低限の知識をまとめます。
1.海外法人とはなにか
そもそも海外法人とはなんでしょうか?
簡単に言えば、日本の法律に基づいて設立された法人が日本法人、外国の法律に基づいて設立された法人が海外法人となります。
つまり、海外法人は、外国のすべての法人を指す、とても広い定義の言葉です。
2.海外法人を設立する目的とメリット
海外法人を設立する目的は、主に次の4つの分類されます。
①海外で事業を展開するため
②海外へ投資するため
③海外の税制を活用して節税するため
④海外移住の足がかりにするため
このうち一つだけが目的の場合もあれば、複数が目的の場合もあります。
海外法人を設立するときは、利用目的に合った国と地域を選びます。たとえば、
①事業展開が目的なら、ライセンスを取りやすくて人を採用しやすい場所を選びます。
②海外への投資なら、投資商品を売買できる金融口座を開設しやすい場所を選びます。
③海外での節税なら、税制が成熟していて金融資産が守られやすい場所を選びます。
④海外への移住なら、ビザが申請しやすく治安や生活環境がよい場所を選びます。
3.海外法人を設立する手順
海外で法人を設立するときは、日本と同様に法人登記が必要です。しかし、海外法人設立の申請手続きは、法律も言語も日本と違いますので、自力ですべて行なうのは容易ではありません。法的に認められていない所もあります。
そのため、海外法人の設立は、その国や地域の公認会計士や税理士といった専門家に登記代行を依頼するのが一般的です。
①法人名、法人取締役、法人株主と持株比率を決める
②パスポートと住所証明で本人確認する
③登記費用を支払う
この3つを押さえれば、1ヶ月程度で海外法人を設立することができます。
4.海外法人の登記代理店・秘書役の役割
海外法人を設立代行する専門家は、単なる仲介業者ではなく、政府からライセンスを付与されている業者を指します。彼らは「登記代理店」や「秘書役」の名目でサービスを提供しています。彼らに依頼すると、多くの場合、本人が現地に渡航しなくても海外法人を設立できるようになっています。
また、法人登記にとどまらず、銀行口座の開設サポートやレンタルオフィスを提供してくれる場合もあります。
中には、人材採用や決算申告のようなバックオフィス業務代行まで、サービスを広げている所もあります。
海外法人を早く有効活用するためには、登記代理店や秘書役を有効活用するのが近道と言えます。
5.海外法人の主要な登記国・地域
海外法人サポートセンターでは、主に次の国と地域で、海外法人の設立・管理サービスを提供しています。
【国際金融センター】
イギリス法人、アメリカ法人、スイス法人、
香港法人、マカオ法人、シンガポール法人、ニュージーランド法人
これらの法域では、銀行、証券会社、保険会社などの金融業が中心的な役割を持つ市場・都市・地域のこと。有力な証券取引所が所在し、外国為替市場などの国際金融取引が特に活発に行われています。居住者にも非居住者にも、資産の流動性を高めるハブとしての法人格と各種金融口座が提供されているのが特徴です。
【オフショア】
ベリーズ法人、BVI法人、ケイマン法人、コスタリカ法人、パナマ法人、
マレーシア法人、セーシェル法人、モーリシャス法人、マーシャル法人、
オランダ法人、ルクセンブルク法人
これらの法域では、課税が完全に免除されたり、著しく軽減されたりしており、租税回避地やタックスヘイブンとも呼ばれます。もっとも、国際的な法整備によって近年は先進国以上にクリーンになっており、マネー・ロンダリングや脱税とは無縁の法域に生まれ変わっています。非居住者でも国際ビジネスを始めやすい自由度の高い法人格が提供されているのが特徴です。
【オンショア】
フランス法人、ポルトガル法人、スペイン法人、アイルランド法人、
中国法人、ベトナム法人、タイ法人、オーストラリア法人、インド法人、
ブルガリア法人、エストニア法人、ラトビア法人、ジョージア法人
これらの法域では、実経済が成長あるいは成熟しており、国内市場がビジネスチャンスにあふれています。また、実経済が歴史・文化・政治、そしてそこに住む人々の生活に深く結びついています。居住者が現地に根付いて社会と共存するための法人格が提供されているのが特徴です。
海外法人を設立するとき、投資だから金融センター、節税だからオフショア、事業や移住だからオンショアだと決め打ちしてはいけません。
ライセンス、ビザ、コスト、法規制、信用、送金のしやすさ、運営のしやすさ、他のサービスとの親和性など、考慮すべき要素がたくさんあります。
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