→前回のつづき
海外口座開設は代理店ごとに割当られた枠数があるので、それを活用したほうが成功率があがると書きました。
そして、今回は、口座開設の費用が年々増加傾向にある理由について書きます。
①人件費
国際課税の新たな枠組み導入に伴い、専門人材の確保競争および書類増加に伴う工数増加が代理店の人件費の増加につながっています。これは最も直接的で、口座開設希望者から見てもわかりやすいものです。
②操業費
銀行の提示する枠数内なら、代理店はどれだけ口座開設を申請しても構いません。しかし、審査でビジネスの実態や居住の実態を厳しく見られるようになりましたので、共有の電話番号、共有の住所、共有のIPアドレスでは、口座開設が難しくなる傾向にあります。海外の電話番号や住所、IPアドレスを希望されるお客様が多い中で、その固定費・変動費ともに代理店に重くのしかかります。
③書類作成費用
郵送やインターネットを介した本人確認(KYC)が主流になる中で、必要書類が最新の情報を反映した正であることを確認するために、多くの場面で証明書や認証を求められるようになりました。こうした書類を発行するのは士業や公的機関です。彼らは書類の正確性に対してこれまで以上に神経をとがらせる必要があるため、手数料もここ数年で大きく高騰しました。
④審査費用
国際課税の新たな枠組み導入に伴い、むしろ最も厳しいペナルティとコンプライアンス基準を課される銀行においてこそ、コストが上がります。直接の人件費に加えて、システム導入、業務フロー導入、内部監査制度の導入、非居住者顧客の信用調査強化といった口座開設希望者には見えないところで、大きなコストがかかっており、それが審査費用の高騰に直結しています。
フィンテック技術の成熟で、多くの人が優れた国際決済手段にたやすくアクセスできるようになる一方で、さまざまな機能が揃った海外銀行口座は、手軽に作れるものでは無くなりつつあります。
そしてこの価格の二極化は、しばらくの間、続くものと思われます。
どのような口座が自分に向いているのか、そもそも海外口座を作るべきか、検討中の方がおりましたら、メールよりご相談ください。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com