前回のつづき⇒
2016年にパナマ文書、2017年にパラダイス文書と、
世界を揺るがすタックスヘイブン取引の機密文書漏洩が続いたことは、
遠い過去の記憶になっているかもしれません。
国際ビジネスや国際投資を円滑に進めることが目的の企業や投資家の名前もあれば、
紛争地域や途上国で贈収賄を行なった政府高官、
所得隠し目的の世界的な有名人、そして、
知らぬ間に個人情報をマネー・ロンダリング使われた一般人の名前もありました。
その後、海外法人や口座利用時のKYC(本人確認)の義務化と、
CRS(国際的な税務情報交換)の仕組みにより、
租税回避とマネー・ロンダリングが激減し、
オフショア業界がクリーンで効率的に様変わりしました。
一般利用者にとっては、事務手続きが複雑化して負担が増えた側面と、
余計なトラブルに巻き込まれにくくなった側面があります。
これは初心者にとって初期投入する費用と労力が増える代わりに、
ルールを遵守して経済活動を積み重ねていけば、
資産情報と個人情報はより強固に守られ、
第三者に漏洩・開示されるリスクが減ったことを意味します。
スキャンダル以前の6年間と、それ以後の6年間の主な海外法人登記件数を見ると、
後者が激増していることからも、オフショア法域の様変わりは
市場から好意的に受けとめられていると言えます。
海外法人設立をサポートする業者にとっては、顧客へのサポート項目が急変したため、
一時的な混乱はありましたが、最終的には、明確になった新ルールの中で、
利用者にとって安全なスキームを安心して提供できるようになりました。
「まっとうな」ビジネスとして継続できているところであれば、
クリーンで効率的なオフショア業界への変化を好意的に受け止めているはずです。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com