発展途上国の多くは、海外との貿易を通して豊かになる必要がある一方で、自国通貨と政局安定のために、厳格な為替管理(外貨と資本の流出管理)をしばしば導入しています。
企業誘致優遇制度に惹かれて日本から直接事業投資をすると、資金を入れて事業を始めるところまでは容易だけど、苦労して稼いだ収益に高い税金が課せられるだけでなく、返済や配当といった正当な名目であっても、なかなか資金を海外に出させてもらえない状況に陥ることがあります。
こうした問題、「貿易ハブ」と呼ばれる法域に、海外法人を設立することで、大幅に緩和されます。ハブとは元々車輪の軸という意味です。貿易ハブは車輪のように広がる国々と貿易する上で、軸になる法域のことで、以下の要素を兼ね備えています。
・資金の流れが自由(為替管理がない)
・輸出入に関税がかからない(酒、タバコ除く)
・主な取引国と租税条約を締結して優遇措置がある
・湾岸・空港・物流施設が発達している
・金融インフラが発達している
・多言語人材が揃っている
平たく言えば、最終的に途上国に商品や原材料を輸出して収益を得る場合、貿易ハブを経由して取引したほうが、税金が安くて、輸送が早くて、コミュニケーションがスムーズで、キャッシュフローが止まりにくい、といったメリットがあります。
途上国にとってもメリットがあります。自国から商品輸出して収益を得る場合、貿易ハブを経由すると、税金が安くなり、輸送が早まり、コミュニケーションがスムーズで、資金回収が楽になるからです。
貿易ハブの成り立ちは、帝国主義時代や植民地時代の列強の都合に依るところが大きく、1960年代以降は、事業投資する側とされる側の間にWin-Winの関係を作る、国際ビジネスの開かれたインフラとして、世界各地に点在しております。
東アジア:香港
東南アジア:シンガポール
ヨーロッパ:オランダ
アメリカ:パナマ
中東:ドバイ
インド・アフリカ:モーリシャス
といった国や地域は有名で、聞いたことがある方も多いはずです。
貿易ハブの役割は二国間のビジネス促進にとどまりません。
複数国で材料調達と加工を経て商品を完成させ、
複数のマーケットへ投入することが増えた2000年以降は、
集中購買、為替リスクヘッジ、グループ会社の持株といった
地域統括の役割を担う場面が増えています。
以上は、国際的な大企業に限った話ではなく、
海外進出を考える中小企業や個人事業主にとっても重要な検討項目になります。
むしろ、前者にとって事業効率を数%向上させる程度の話が、
リソースの乏しい後者にとっては死活問題になりますのでより重要です。
エネルギー危機とインフレとコロナが落ち着きつつある今、
貿易ビジネスにとって追い風が吹き始めています。
海外法人サポートセンターでは、貿易ハブを活用した途上国への事業投資を、
スキーム立案~市場調査~法人設立~業務設計~バックオフィス業務まで
一貫して支援しておりますので、
検討されたい方はメールよりお問い合わせください。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com