事業を営む方が海外法人を使う場合、
ペーパーカンパニーとしてではなく、事業の器として使ったほうが、
より多くの節税空間を作ることができます。
ペーパーカンパニーは海外法人を登記して、取引先と契約を締結するだけの使い方で、
形式的に売上や費用、利益を移転します。
事業の器は、海外法人名義で口座開設して、事務所を借りて、代表自身含めて人を
雇用する使い方で、実質的に売上や経費、利益が海外法人に付きます。
この2つのアプローチの最大の違いは実態の有無です。
前者は、実態がないため、立上げとオペレーションがとても楽です。
しかしその分、社会的信用が低く、
銀行口座が開設できなかったり、取引先に敬遠されたり、
税務当局から租税回避の疑いをかけられたりすることがあります。
ツギハギしてでも即効性を求める手術的なアプローチです。
後者は、実態があるため、立上げとオペレーションに一苦労します。
しかしその分、社会的信用が上がります。
銀行口座の開設が簡単になったり、取引先と商流を調整しやすくなったり、
取引が税務当局から正当な売上や経費として認められやすくなります。
時間をかけて副作用を減しながら企業体質を改善する漢方薬的なアプローチです。
お客様の置かれている状況と価値観によっても変わりますので、
一概にどちらが正解ということはありません。
ペーパーカンパニーにも適した使い方はあります。
しかし、すでに事業を営んでいる方に限っていえば、
既存のリソースを援用すれば比較的容易に海外法人の実態を作ることができますし、
商取引の非効率な部分を海外法人と実態ある取引の中で消化できますので、
事業の節税はなるべく事業の中で行なうのが、王道と言えます。
次回は逆にペーパーカンパニーの使い方について紹介します。
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