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ファミリーオフィスの勃興 ①持続可能な繁栄を求めて

コロナを経て、ファミリーオフィスとプライベートバンクの、業界内での立ち位置が変わりました。

 

いずれも、一定以上の資産を保有する一族の資産管理を手掛ける点では同じですが、プライベートバンクは、既存金融サービスのカスタマイズと、既存ネットワークの活用をするスタンスであるのに対して、ファミリーオフィスは、金融・税務・法務の総合ソリューションに加えて、良質な教育・医療資源の獲得や、家族間の人間関係の調整など、より一族のプライベートに踏み込んだオーダーメイドサービスを提供するスタンスになります。

 

ファミリーオフィスのビジネスモデルを成立させるには、時間のかかる深い顧客理解と、様々な分野の専門家の密な協業が必要です。その分、「専属度」が高くなりますので、ファミリーオフィスの顧客数は限定されます。

日本円ベースで資産額が100億円以上のファミリー1つを対象とするシングル・ファミリーオフィス(Single Family Office:SFO)、あるいは数十億円以上のファミリー複数を対象とするマルチ・ファミリーオフィス(Multi Family Office:MFO)の形態が取られます。前者は家族との強固な結びつきやオペレーションの安定性が強調され、後者はコストシェアやナレッジシェアによる効率が強調されます。

 

資産額が数億円規模でも、取引のある銀行や資産運用会社から提案を受けることがありますが、それはあくまでも、「ファミリーオフィス」と称した従来のプライベートバンキング、プラスアルファ雑用代行サービスの範疇を出るものではありません。

 

ファミリー オフィスの起源は19 世紀にまで遡ります。
アメリカの石油業界で莫大な資産を築いたジョン D. ロックフェラーは、家族の資産運用、慈善活動の管理、将来の世代のための富の保全と成長を目的に、世界初のファミリーオフィスとされる組織を設立しました。

 

アメリカが超大国に発展するのと足並みを揃えるように、ファミリーオフィスも発展し、近年では、不動産開発やIT・AIブームで財をなした新興国の富裕層にも取り入れられるようになりました。

 

日本では、ファミリーに対する意識の違い、経済・社会発展のタイミングの違いから、ファミリーオフィスは馴染が薄いものでしたが、プライベートバンクが凋落する中で、知名度を高めつつあります。

 

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