前回のつづき⇒
ファミリーオフィスは共通して、以下の目的を持続的に達成するために運営されています。
- 資産管理
- リスク管理
- 機密保持
- 良質な社会資源へのアクセス
- ガバナンス(家族統治、価値観促進)
これらテーマをきちんとこなすには、財務、税務、法務、投資、IT、広報などの機能が求められます。
一方で、ファミリーオフィスオフィスには、創業者やファミリーの長の価値観が強く反映される「専属性」の高いサービスですので、スキルに加えて、経験もネットワークも豊富な人材を、数多く取り揃える必要あります。
資産規模の大きい歴史あるファミリーオフィスでは、大企業のバックオフィスより格段に質の高い専門家が定着しておりますが、そこまで余力がない新興のファミリーオフィスでは、良質な人材の獲得・定着に四苦八苦するところが増えてきました。
- 家族特有の価値観や方針に共感できない若手社員の離脱
- 家族内派閥争いに伴うベテラン社員の分裂
- 需要の急増にそもそも人材の数と育成が追いつかない
- 人間関係や長期的な視点を持たないスキル重視の弁護士・バンカーの新規参入
などなど。
ファミリーオフィスが産業として成長するうえで、人材不足は避けては通れない現象かもしれませんが、未熟なクライアントが、未熟なサービスプロバイダーと出会うことは、往々にして幸せな結果を生みません。
なんちゃって「ファミリーオフィス」から職業倫理も専門性も感じられない問い合わせや業務依頼が増えてきましたので、その先のクライアントがまともなサービスを受けられるのか、真剣に危惧しています。