前回のつづき⇒
超富裕層にとって資産分配は悩みが尽きないテーマであり、
主に以下の項目に細分化されます。
1.家業・事業の継承
ー 事業資産と私的資産の分離
ー 事業継承計画と組織再編
ー 後継者選定
ー 後継者育成
2.分配ルールの策定
ー 公平性
ー 特例の考慮
ー 条件つき
ー 家族協議の必要性
3.慈善活動
ー 社会的意義
ー 社会的影響力
ー 理念と価値観の継承
ー 運営方法
ー 税制優遇措置
4.リポートフォリオ
ー 投資目的
ー 投資戦略
ー アセットクラスとマーケットの分散
ー インフレヘッジ
ー 将来の資金需要
5.相続税の節税
ー 生前贈与の可能性
ー 非上場株式や不動産の評価
ー 遺言書
ー タイムリミット
6.スキームの開発
ー 投資ビークル
ー 財団設立
ー 信託・法人設立
ー 保険・証券の利用
ー 資本再編
このうち、1から3はファミリーオフィスが、4はプライベートバンクが、
そして、5と6は資産と情報の保全を専門とする弊社が得意とする領域です。
上流で要件定義がしっかりされていれば、下流は法的枠組みの中で、最適な実装を進めるのみです。しかし、上流工程はそのファミリーが富裕であればあるほど「専属性」が高く、一筋縄ではいきません。
- 複数回の離婚歴と結婚歴
- 嫡出子と非嫡出子
- ライバル意識と経済格差
- 結婚・出産・成人などのライフイベント
- 想定外の事故・病気
などなど、複雑な家族関係ゆえ、均衡を図るのは至難の業です。
由緒正しきファミリーと長く太い関係を持つ優秀なファミリーオフィスの場合でさえ、時間をかけても業務を標準化できず、要件変更もたびたび起こるのが常です。
ましてやニューリッチなファミリーと名ばかりのファミリーオフィスなら、事態はいっそうひどく、後工程で作った箱物は無駄になり、毎年保守コストばかりかかって、目も当てられない状況になります。
ファミリーオフィスのあるべき「専属性」や人材の質について書いてきましましたが、資産の少ない富裕層と力のないファミリーオフィス業者は、そんなものにはこだわるのではなく、標準パッケージに当てはまる部分だけ互いに利用し合うという割り切ったスタンスのほうが、うまくいくかもしれません。
ご相談はメールより承っております。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com