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海外法人活用例 その9 米中摩擦下におけるシンガポール法人の妙味

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前回のつづき⇒

 

米中摩擦が長期化し、製造や貿易を中国に依存してきた企業は、サプライチェーンや資金管理の見直しを迫られています。こうした中で、日本企業にとってのみならず、世界中の企業にとって、シンガポール法人活用の妙味が増しています。

 

主なメリットは以下の3つ。

 

1. 物流メリット

米中関税が引き上げられる中、中国工場で生産した製品を直接アメリカへ輸出すると、高い関税がかかってしまいます。

しかし、シンガポールの自由貿易港(Free Trade Zone)で、検品やパッケージング、最終組立などの軽作業を行うことで、原産地をシンガポールに切り替えられますので、アメリカでの関税を大幅に削減できます。

つまり、物流を、中国⇒シンガポール⇒アメリカに設計するのです。

また、シンガポール法人を持つと、ASEAN各国との自由貿易協定(FTA)を活用できますので、チャイナ・プラス・ワンのリスク分散型のサプライチェーン構築がしやすくなります。

 

2. 金融メリット

中国本土も日本も外貨管理が厳しく、海外送金やドル資金の運用にが非効率です。

一方、シンガポール法人を経由すれば、アメリカからの売上金をシンガポール口座にプールし、自由に運用・再投資することができます。

USドルだけでなく、シンガポールドルも安定性が高い地域通貨ですので、マルチカレンシー口座の中で、為替リスクを分散できます。

 

3. 税務メリット

さらに、シンガポールの法人税率は最大でも17%と低く、節税対策を施せば、実効税率10%以下も可能です。

また、シンガポールは、日本・アメリカ・中国を含む80か国以上と租税条約を締結しており、配当・利息・ロイヤリティにかかる源泉税を軽減できますので、二重課税を回避しつつ、国際取引コストを最小化できるのが大きな魅力です。

 

もちろん、シンガポール法人とシンガポール口座には弱点もございます。

規制強化に伴い、法人の管理コストは年々増加し、口座の使い勝手も年々窮屈になっているのは周知の事実です。

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そのため、総合的に判断して、やはり香港法人と香港口座に軍配が上がるケースも多いと思いますが、シンガポール法人とシンガポール口座という選択肢もあると、知識を持っておくだけでも、不安定な情勢下においてリスクヘッジの一助になります。

 

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