前回:海外口座と相続問題 その3 - 海外法人サポートセンター
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相続税案件におけるクライアントファーストは、法人税案件と少し意味合いが異なります。というのも、相続税案件におけるクライアントは法的には依頼主個人ですが、実際は、クライアントの親族の思惑も汲み取らなければ仕事が前に進まないため、依頼主個人の意向を尊重しながらも、できるだけ親族間の軋轢がうまれないようにスキームを組まなければなりません。
そのため、相続税案件でクライアントファーストを実現するためには、複雑なスキームを組める知識と経験よりもむしろ、極めて高い調整能力と板挟みのストレス耐性が重要だと考えております。
日本国内だけで完結するスキームの場合ももちろんのこと、海外法人を活用する場合は海外移住が密接に関係しているため、アドバイザーはより大きな板挟みの緩衝材にならなければなりません。
クライアントの晩年の貴重な時間を、お金のやりくりや配分以外に費やしてほしいという思いから、相続税案件を受け付けていることをあまり書いてきませんでしたが、アドバイザーとして上の板挟みストレス、自身が提案したスキームがクライアントとその家族の争点になってしまうある種の罪悪感が蓄積されないよう、受付数をコントロールしているという弊社側の事情もあります。