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共通報告基準(CRS)の施行は2017年・2018年に開始される法域が多く、これに基づく自動的情報交換は1年遅れの2018年・2019年に主なオフショア法域で開始されます。
CRSにおいて、金融機関はFinantial Institutions (FI/FIs)と呼ばれます。これは銀行のみならず、カストディアン、 保険会社、集団投資ビークルのような金融業界のプレイヤーを幅広く含む概念です。FIsは、現地税務署に、口座保有者の名前や残高等を報告する義務を負います。そしてFIsから得た情報の中から、現地税務署は、非居住者の口座情報を抽出し、当該非居住者の居住国の税務署へ共有し、互いに国を超えた脱税、租税回避行為防止していくという流れになります。
例えば、香港に証券口座をもつ日本居住者の情報について、FIsである香港の証券会社は香港の税務署に提供し、それを香港の税務署が日本の国税庁へ提供されます。そうすることで、香港での税引き後利益について、日本での申告漏れ・課税漏れを減らしていく、というのが、CRSによる自動的情報交換の取り組みになります。
みなさまが税務上、どの法域の居住者に該当するかは、以下が参考になると思います。
Tax residency - Organisation for Economic Co-operation and Development
これまで海外資産について日本の法律を遵守してこなかった方は、来年、再来年といろいろ大変になると思います。