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ノミニー特集 その23 名義貸しを利用した人の末路

kaigaihoujin.hatenablog.com

前回の続き⇒

 

前回、ノミニー代理人と信頼関係を作ることが、ノミニーの仕組みを利用して匿名性を高める上でとても大切だと書きました。

注意深い方なら、そのときに「相場から大きく外れた安い費用で、身分を何も明かさずに申し込めるような、安易な名義貸しはトラブルの元だ」と一言付け加えたことを覚えているかもしれません。

 

今回は、そんな名義貸しについて少し詳しく書きます。

 

名義貸しとは、 実際の契約当事者でない者が、他人から依頼されて、自分の名義を他人に貸す行為のことです。海外法人のあるオフショア法域では、名義を貸す方も借りる方も違法行為にあたりますので、名義貸しはそもそも利用してはいけないサービスです。

 

まず、ノミニーと名義貸しの大きな違いは「うその情報」を第三者に伝えているかどうかです。

 

法的に認められているノミニーサービスは、主として「Power of Attorney」と「Declaration of Trust」の2つの契約書を通して、ノミニー代理人が真のオーナーのために取締役・株主に就任していることを、立会人・登記局・金融機関に示します。

 

一方で、名義貸しは契約書自体がなく、第三者へのそのことを提示しませんので、名義貸しを利用して、法人登記や口座開設を行なった場合、代理人が真のオーナーであるかのように「うその情報」が伝わります。

 

すると、法人運営や資産管理する上で、法的には、義務やリスクだけではなく、権利やリターンまでもが、代理人のものになってしまいます。

 

具体的に言えば、「真のオーナー」である名義人が、勝手に海外法人の名義を使ってハイリスクなビジネスに手を出したり、口座の資金を引き出して持ち逃げしたとしても、「赤の他人である」本当の所有者に、異を唱える権限が存在しません。

 

悪意をもって、資産を持ち逃げするつもりで名義貸しを提供する代理人は、実際のところほとんどおりません。

しかし、最初に正規の手続きでノミニー契約を準備しているわけではないので、代理人の状況が変わったときに、行政機関や金融機関への説明に窮してしまうことになります。

 

よくあるのが、途中でサービスやめたり、代理人が亡くなったりするケースです。代理人と連絡がつかなくなると、法人が閉鎖できず、資金も引き出せなくなります。本当の所有者は自分が真のオーナーであると証明する術がないので、トラブルになります。結構な確率で発生しています。

 

もう一つよくあるのが、代理人の想定外のブラックリスト入りと資産凍結です。

代理人側が小銭欲しさに、安易に違法な名義貸しを不特定多数に提供していると、最初から違法ビジネスの責任転嫁を考えている悪意のある利用者にあたってしまうことがあります。

そうすると、代理人自身が知らぬ間に国際的な債務者や犯罪者とみなされますので、その名義で保有されている海外法人や海外資産はすべて、調査や制裁の対象に含まれてしまいます。

 

違法な名義貸しの利用は、本当の所有者が全資産と全信用を失うレベルのトラブルに直結します。それもかなりの確率で発生します。くれぐれもご注意ください。

 

すでにトラブルに巻き込まれている方は、問題解決に高い費用が発生します。できることも限られます。しかし、それでも、資産の何割かだけでも取り戻せたほうがいいと思いますので、お困りの場合は、早めにご相談ください。

 

kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com

 

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