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レンタル住所について相談が一番多いのは、海外法人の住所証明が必要になったときです。
このとき一番はじめにすべきことは、どんな住所の証明が必要かを提出要求元に確認することです。
オフショア法人の場合、登記住所、ビジネス住所、連絡住所の3つの概念があり、それぞれを証明するための書類が異なります。
①登記住所の場合、管理会社/秘書役へ相談し、法人登記に関する最新の証明書類を発行します。
②ビジネス住所の場合、事業を実際に運営している住所のことですので、バンクステートメントや、公共料金請求書を準備します。
③連絡住所の場合、ビジネス住所と異なる場合は、代表個人のバンクステートメントや、公共料金請求書を付加します。
以上の対応で事足りることが多いですが、中にはやっかいなケースもあります。
例えば、②の要件として、バンクステートメントだけでなく、公共料金請求書を求められたときです。事務所を一つ借りていれば問題はないですが、スタートアップやペーパーカンパニーでサービスオフィス契約をしている場合、公共料金がサービスに含まれますので、法人名義で個別に請求書が発行されるわけではありません。また個人のように短期的にアパートやホテルの住所を借りるわけにも行きません。
この場合は個別に相談いただいて、対策を考える必要があります。
公共料金の請求書に準ずる書類として何が認められるのか、
その法域で発行可能なものなのか、
管理会社・会計士・不動産会社の協力が必要なものか、
予算が合うのか、
期限が間に合うのか、
住所を一つ証明するために、検討しなければならない項目は意外と多いです。
一つ前の記事で、あらかじめ法人と口座の用途を業者に説明して、デフォルト住所以外の選択肢が必要か確認されることを推奨いたします、と書きましたが、
特定の企業(特に金融サービス)との取引が見込まれる場合は、なるべく早い段階で具体的な住所証明の要件を確認し、法人と口座を準備したのに、ビジネスを始められない、あるいは予想外に住所証明に時間と予算が取られるリスクを抑えるのも、重要なテクニックです。