シンガポールと香港はお互い、中華系でありながらイギリスの影響も受けた、アジアの金融センターで、ライバル同士して見られることがあります。
日本人向け海外法人設立サポートの立場で一般論を言えば、シンガポール法人は東南アジアへの窓口、香港法人は中国への窓口の役割を果たします。どちらも、関税がゼロであり、立地も良く、金融インフラも成熟しているため、貿易センターや物流センターとして重宝されます。実業をされるのであれば、法人の設立は必須といっても過言ではありません。
一方、世間一般の印象では、シンガポールは金融ルールがクリーンで街がきれいで、経済も好調というポジティブなイメージがあるのに対し、香港は金融ルールがグレーで街が汚く、経済も良くないというネガティブなイメージがここ数年でついてしまったように思います。
そのためか、シンガポール法人でも香港法人でも機能的にメリットが変わらない場合であっても、シンガポール法人を設立されたがるお客様が一定数おります。
シンガポール法人のほうが元々必要経費が高く、さらに手間ひまが多くかかった分だけ販売価格も高くなって弊社としては嬉しいのですが、初期費用・ランニングコスト、渡航のしやすさ等などを考慮すれば、お客様的には香港法人の方に軍配があがるのではないかと思います。小さいことですので弊社から強くは言いませんが、実情はそうなっています。
中国本国からの干渉や上海の地位向上、シンガポールの成長が香港の凋落を招いているから長期的には香港法人が不利と考える方も実際にいらっしゃいましたが、シンガポール経済は今がピーク、香港は今が底に近い、上海は香港をロールモデルとして国内貿易都市の模範になろうとしているのであり、香港に取って代わることはできない、等の事実を踏まえると、むしろ今が香港進出のいいタイミングなのではないかと思います。