海外法人口座と個人口座の間でお金をどのようにやり取りすればよいか、よく質問を受けます。
この質問が10年以上減ることなく続く背景には、個人口座に海外収益を入れると課税対象となるかどうかという根深い不安があると考えます。
実際のところ、タックスヘイブン対策税制がありますので、海外法人に収益をプールしていたとしても、合算課税の対象となり、個人口座に海外収益を入れるかどうかはほとんど関係がありません。
それよりも実務上大切になる論点は、送金を我慢することではなく、送金名目をどうするかということです。
海外法人へ個人口座から送金するとき、取締役として送金するのか、それとも株主として送金するのか、送金目的はローンなのか、それとも増資なのか考える必要があります。
逆に海外法人から個人口座へ送金するとき、取締役への役員報酬なのか、業務委託の外注費用なのか、配当金なのか、ローン返済なのか、といったことを考えるべきです。
海外法人の事業の実態、および海外法人と個人の間の契約内容から、法人と個人それぞれの居住国において、収益が課税対象となるかどうか、そして税率がどの程度になるのかを決めます。