金融ニュースでたびたび登場する「脆弱性」。
この「脆弱性」は、資産価値の急落、負債の不履行、流動性の停滞、サイバー攻撃、不正取引などのリスクをまとめて指す言葉です。
脆弱性の対策として重要なのが「管理」ですが、欧米と日本の金融機関の管理方法にはそれぞれ独自の特徴があります。
欧米の金融機関は、金融の自由化や緩和を進める一方で、脆弱性については厳格で明確な管理体制を採用しており、これにより問題が早期に発見される傾向があります。特に2008年の金融危機以降、最新のセキュリティ技術やベストプラクティスを取り入れる姿勢が伺えます。
一方、日本の金融機関は管理が明確でなくても問題が起きにくい傾向にあります。これは長い歴史の中で培われた政策への配慮や地域密着型のビジネスモデルが安定性をもたらしているからです。
どちらの管理方法も一長一短あり、文化的にすぐに変えられるものでもありません。
日本式はダメだとか、欧米式にも問題はあるとか、
ヨーロッパとアメリカでもやり方が違うとか、そういった議論は不毛です。
良い管理を行うには、管理方法を変えるのではなく、管理の程度を調整するのが実践的です。
適切な管理は、リスク低減、信頼性向上など投資家や顧客にとってメリットとなり、安定した金融市場の構築に寄与します。
過剰な管理は、イノベーションを制限し、煩雑さを増しますので、急速に変化する市場や顧客の多様なニーズに対応することができません。
そして、ずさんな管理は、リスクや不正を増加させ、信頼性低下や経済的な損失に直結します。
金融機関も顧客と自社の両者のメリットのために、良い管理をするための努力を続けています。
しかし、ステークホルダーが多ければ多いほど、何を適切とみなすか決めるのは難しく、また、管理項目が多ければ多いほど適切な分量だけ管理を実施するのはさらに難しいことです。
そのため、顧客も自社も管理によるメリットを得られないどころか、摩擦や負担が増えるとさえ感じることがあるでしょう。
そこに、弊社のような代理店が価値を提供できる空間が生まれます。
両者の立場を理解し、両者にとって分かりやすい言葉で相手に説明する。
時には自社の信用で両者を取り持つ。
良い管理の限界を「補完」する、
これが海外法人サポートセンターが果たすべき役割の一つだと考えます。