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中央銀行や金融規制当局の主な関心事は、オフショア銀行が財務的に健全であり、規制に準拠していて、各種リスクを適切に管理できる体制を持っているかどうか、そしてマネーロンダリングやテロ資金供与などの犯罪に関与しないかどうかです。
そのため、オフショア銀行設立のライセンス審査で、具体的な集客戦略・マーケティング戦略を求めるかどうかは、法域によって異なります。
ケイマン諸島やジブラルタル、モーリシャスはじめ、多くの法域は、オフショア銀行が健全な経営計画と適切なリスク管理フレームワークを持つことを求めますが、それは必ずしも具体的な集客戦略・マーケティング戦略の提出を意味するわけではありません。
ターゲット市場や予想される顧客層、そしてそれらをどのように引き付けるかについて事業計画の中で説明を求められる場合も、集客戦略・マーケティング戦略そのものの巧拙ではなく、オフショア銀行が投資家や顧客、規制当局に対して実用的なビジネスモデルを持ち、市場で実行可能かどうかが評価されます。
しかし、オフショア銀行を経営する立場からすると、実際に顧客がいなければビジネスは成立しません。集客戦略・マーケティング戦略は市場分析に基づいて展開される不可欠なプロセスとなります。
オフショア銀行特有の集客戦略・マーケティング戦略は存在しません。
多くのビジネスと同様に、顧客の声に耳を傾け、商品やサービスの特性を理解し、直販・リファラル・パートナーシップ・デジタルマーケティング等で価値を届ける、この愚直に試行錯誤のサイクルを回し続けるほかありません。
※オフショア銀行の主な顧客のイメージはこちらの記事をご参照ください。
しかし、集客・マーケティングを、ゼロから自力で全てやり切る必要はありません。
既存のオフショア銀行の商品・サービスに加えて、オフショアファンドやプライベートバンクの集客のやり方や、世界的に流行している富裕層向けのマーケティング・セールス手法をよく観察することで、自社の顧客と自社のオペレーションに適したやり方のヒントが見つかるでしょう
専門人材の採用も、集客を加速させます。業界経験の豊富な営業担当を採用できれば、顧客基盤を一気に大きくできるでしょう。ラグジュアリーブランドからマーケターを採用して、ブランディング戦略やプロモーションプランを策定させるのも有効です。
ご相談はメールより承っております。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com
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