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海外投資を行う上で、「どこに投資するか」だけではなく「どこから投資するか」も意識する必要があります。投資元の法規制や金融インフラ次第で、選べる商品もかかる費用も全然違ってくるからです。
日本居住者、とくに20代で初めて海外投資する方におすすめしたいのが、「香港とシンガポールから投資する」方法です。香港とシンガポールを金融ハブとして海外投資することには、独自のメリットがいくつもあります。
1.税制上の優遇措置:
香港とシンガポールは低税率で知られる税制上の利点を投資家に提供しています。香港では配当や資本利得に対する税金がかからず、シンガポールでも海外で生成された所得には原則として課税されません。これらの税制は、投資収益性(投資効率)を高める大きなファクターです。
2.多様な市場と商品へのアクセス:
香港とシンガポールは、アジア太平洋地域の主要な金融センターとして、世界中から多種多様な金融商品やサービスが集まっています。国際株式、債券、ファンド、デリバティブ、非上場企業など、日本国内では利用できない幅広い投資オプションから、市場と商品を選択することができます。
3.マルチカレンシー口座の利用:
香港やシンガポールの金融機関は、通常、マルチカレンシー口座を提供しています。これにより、複数の通貨を一つの口座で管理することが可能になり、通貨間の変換を簡単に行えるなどの利便性があります。通貨ごとに金利が異なりますので、有利に資産運用することができます。
4.為替スプレッドの低さ:
香港やシンガポールは外貨取引が活発であり、両替を行う際の為替スプレッド(売値と買値の差)が割安です。外貨間での取引を行う際のコストを抑えたり、為替リスクヘッジの手段として、先物取引やオプション取引の利用もしやすい環境にあります。
5.手数料のコスト競争力:
香港とシンガポールはいずれも国際的な金融センターであるため、取引コストや手数料の面で国際競争力があります。特に証券取引における手数料は、日本やアメリカに比べて圧倒的に安い傾向にあります。
6.国際的な信用度:
投資初心者の方が直接意識することは少ないかもしれませんが、香港とシンガポールの両金融センターは高い経済的安定性を有しており、投資家に安心して取引できる環境を提供しています。いずれも世界トップクラスの規制品質と法的透明性で知られています。このような堅実な財政政策と信頼性がリスクの最小化に貢献します。
7.日本との距離的な近さ:
香港もシンガポールも、その気になれば日本から日帰りで行けてしまう距離にあります。契約や口座関係で渡航が必要になっても旅程の調整がしやすく、日本語でサポートできる業者も多数存在するため、万が一トラブルがあっても行って解決できる安心感があります。
こうしたメリットの一つ一つなら、ニューヨーク・ロンドン・ドバイ、あるいは特定の事業投資先の国が該当することもあります。しかし多くのメリットが組み合わさる場所が、香港とシンガポールです。この2つの法域を金融ハブとして活用して、海外投資の足がかりにしない手はありません。
次回は、日本居住者が口座開設しやすい、香港とシンガポールの証券会社・保険会社をそれぞれご紹介します。
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