海外法人を通して節税すると聞くと、節税と脱税・租税回避の瀬戸際をイメージされる方がまだまだ多いと思います。実際にそういったタックスプロモーターとしての働きを期待して弊社にお問い合わせされる方もおります。これを便宜上、裏技アプローチと呼ぶことにします。
裏技があるということは正攻法もあるわけです。
国際税務における正攻法アプローチは、必ず次の4つのいずれかに帰着します。
①条約/協定の活用
②国内法に定められた優遇税制の活用
③厳しい税制の適用除外条件の活用
④上の3つを組み合わせたスキームの活用
例えば、海外法人、特にオフショア法人を活用される方なら誰しも聞いたことのあるタックスヘイブン対策税制にも適用除外要件がございますので、正攻法③の視点から出発すれば、なんとかその要件を満たせるように事業の形を合わせていくことになります。
もちろん正攻法アプローチも裏技アプローチそれぞれ一長一短があります。
例えば、正攻法の場合、最初に一定の費用と手間をかけて準備すれば(事業の形を合わせて文書管理ルールを策定し、月々見ておくべき財務指標を決めておけば)あとは大きく事業転換しない限り、ルーチン業務をやりきればほぼ確実に節税できます。(海外拠点を複数持つ上場企業の規模になるとこの限りでない)
一方、裏技アプローチでは、初期費用を余りかけずに登記だけして、オフショアの規制が少ないことを利用してどんどんビジネスを拡大できますが、法律が追いついていないということは、法解釈が一定しないということですので、想定以上に課税されるリスクがあることを意味します。
海外法人で節税するには、登記する国と、活用すべき法律の配合を間違えないことが大事です。配合を間違えるくらいなら、最初から日本で国内法人を経営したほうがよほど無難でいいです。