海外法人と聞くと、まずは香港法人やシンガポール法人といった金融センターを思い浮かべる方が多いと思います。
少し詳しく調べたことのある方なら、セーシェル法人やBVI法人といったオフショア法人を思い浮かべる方もいらっしゃると思います。
タックスヘイブン対策税制や共通報告基準(CRS)、パナマ文書と関連してニュースになることも増えてきましたので、近年は一般社会にも認知されつつあります。
こういった海外法人は、渡航せずに法人登記が可能で、海外に居ながらにして経営できるのが特徴ですので、事業の自由度を格段に上げることができます。
しかしながら、これはあくまでもお客さま側の空間的な自由度であって、時間的な自由度も格段に上がることを必ずしも意味するものではありません。
それはサービス・プロバイダ側が空間的制約を受けるためです。たとえば裏方として海外法人サポートを行う弊社は、複数の法域にまたがって実務を行うために、各種ステークホルダーとの調整や意思決定にはそもそも時間が必要で、またオフショア法域間で郵便を利用したり、直接移動したりする場合がありますので、時間がかかってしまいます。特急料金を頂ければ少し早くなることもありますが、瞬時に求められるアウトプットが出せるとは限りません。
色々手続に時間がかかるのは、日本法人でビジネスをする場合にも当てはまることですが、海外法人の謳う自由度と、利用者側の実感のなさために、すべてにおいて期待値が高くなる傾向にあるようです。