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共通報告基準(CRS)の実施によって、海外法人をうまく使えなければ、准富裕層は負け組になると書きました。では、勝ち組になるのは誰なのでしょうか。
富裕層には優秀なタックスプロモーターや士業のアドバイザーが付いているので、影響を受けず、勝ち組であり続ける、と考えた方はオフショア法人業界をよく分かっていらっしゃると思います。
富裕層は小さなルール変更に対応するだけの余力があります。ただ、元から勝ち組ですので、共通報告基準(CRS)の実施によって勝ち組になるというよりは、現状維持です。抜け道を見つけたタックスプロモーターも儲かりますが、元から儲かっている勝ち組なので、ほぼ現状維持と言えます。
一方、公平な税負担が実現し、社会福祉が充実するのでマス層が勝ち組になるといいう優等生の模範回答を思いついた方もいるかもしれません。たしかにそれは理想です。有能で利他的な指導者の元で、人格者である全国民が同じ目標に向かって努力すれば、到達できる目標かもしれません。
税収が増えて国だけが勝ち組になるとドライに考えられる方もいるでしょう。徴税に貢献した者も昇進が早くなるので、ある意味勝ち組と言えます。これは部分的に正解です。
なぜ部分的にしか正解でないかと言えば、国の税収が増える以上に、共通報告基準(CRS)を活用して荒稼ぎできる真の勝ち組がいるからです。それが誰かはもちろんこの場では言えません。
グローバル資本主義と修正資本主義の世界において、国際ルールが変わるということは、富が弱者の手からいっそう離れ、限られた強者に集中することに他なりません。残念ながら、これが現実です。
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