⇒前回の続き
決済データのやり取りは決済代行会社を介して行われますが、
実際の金銭的なやり取りは、カードを発行する金融機関と、加盟店の決済を処理する金融機関を通して行われます。
業界では前者をイシュア(issuer)と呼び、後者を(acquirer)と呼びます。
イシュアには主に以下の役割があります。
1.カード発行
カード利用者に対してクレジットカードやデビットカードを発行
カード番号や有効期限、セキュリティコードなどによって利用者を特定
カード利用者の信用状況の確認
カード利用者に応じた機能と付加サービスの提供
2.与信管理
カード利用者の支払能力や信用状況を把握し、適切な与信枠を設定
不正利用の監視やセキュリティ対策による利用者保護
3.決済処理
決済データを確認し、与信枠内で決済承認
決済金額をカード利用者の口座から引き落とし、加盟店に送金する決済仲介
4.カスタマーサポート
問い合わせ対応
カード紛失時の再発行
このように、イシュアは、カード利用者と店舗の間に立ち、カード発行から与信管理、決済処理、カスタマーサポートまで、決済における中心的な機能を担っています。
一方で、アクワイアラには以下の主な役割があります。
1.加盟店開拓と加盟店契約
店舗に対してカード決済の受け入れを勧誘し、加盟店契約を締結
店舗の信用状況を確認し、決済手数料率の設定
2.決済端末の提供
決済端末の提供
決済端末のメンテナンス
3.決済処理
店舗から送信されたデータをイシュアに転送
決済承認の受領
4.売上集計と入金管理
店舗の売上データ集計
店舗へ入金処理(通常は月次)
店舗へ入金予定や入金状況の通知
5.店舗サポート
店舗からの問い合わせ対応
チャージバック処理
クレーム処理
このように、アクワイアラは店舗とイシュアの橋渡し役として、加盟店の開拓から決済処理、売上管理など、店舗側の決済インフラを支える中心的な機能を担っています。
決済代行会社は、アクワイアラの業務を代行する役割を果たします。加盟店の開拓から決済処理、売上管理など、店舗側の決済インフラを支える機能をアクワイアラに代わって行ないます。
一方で、イシュアの業務については、決済代行会社は代行しません。カード発行、与信管理、顧客サポートなどの業務は依然として金融機関のイシュアが担っています。
アクワイアラは通常、監督当局への登録して、加盟店が所在する国内の法域で決済処理を行います。例えば日本では、資金決済法に基づき、決済代行サービスを提供するための登録が義務付けられています。
日本の加盟店が海外の消費者向けに決済(クロスボーダー決済)を行いたい場合は、日本のアクワイアラが、海外の決済代行会社と契約して、その会社を通じて決済データの処理を行うことになります。
クロスボーダー決済のニーズはますます高まっていますので、オフショア決済代行会社のビジネスもますます重要になっています。
決済代行会社そのものについての基礎が固まったところで、次回からいよいよ本編、
オフショア決済代行会社の作り方について、説明していきます。
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