前回:ノミニー特集 その4 投資との高い親和性 - 海外法人サポートセンター
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ノミニー制度を活用するのであれば、株主と取締役の両方にノミニー代理人を立てるのが効果的です。目的がどうであれ、中途半端に匿名性を守っても意味がありませんので。守るなら徹底的に守りましょう。
ところで、ノミニ-代理人はどのような者がなるのでしょうか?
よく海外法人設立代行業者のホームページには、現地の法律をよく知っている日本以外に居住する会計士や弁護士がノミニーとなるので安心です、というに書かれています。
何やら信頼できそうな気がしますが、実はノミニー代理人は資格がなくても誰でもなれる敷居が低い仕事なので、特に会計士や弁護士なだけで信頼できるというわけではありません。むしろ、稼げる資格を持っているにもかかわらず、名義貸しじみた仕事をしているあたり、警戒したほうがいいかもしれません。
では何が信頼できるかと言いますと、何よりもまず法人でノミニー代理人を立ててくれる業者です。国によって違いはあるものの、オフショアでは、株主だけ、もしくは株主と取締役の両方に法人がなることができます。
別の法人をノミニー代理人にすることで、海外の個人がノミニーになるよりも、お客さんとノミニー担当の双方にとってリスクを減らすことができます。
とくに、株主なら有限責任ですが、取締役は形式上は無限責任なので、ノミニー取締役は個人ではなく、法人にしておくほうが、いざというときにそのノミニー法人を閉鎖すれば、誰も大きなリスクを侵さずに済みます。
リスクとは責任です。
日本の会社法にある取締役の責任をみてみましょう。
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役員等は任務を怠って損害を株式会社に生じさせたときは損害賠償を負う
取締役の違法な自己取引は、その取引の利益額が会社の損害額と推定される
利益相反取引によって会社に損害を与えた時は、取締役が任務を怠ったものと推定される
役員等が職務を遂行する時に悪意、重大な過失があった場合は、第三者へ損害賠償する責任を負う
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取締役の責任が株主と異なりかなり重いことがわかります。
しかしながら、この取締役を法人にすれば、上の責任が個人へ直接かかるのがかなり軽減されます。少なくとも訴追をかなり遅らせることができますので、こういったリスクヘッジをしっかりと行なっている海外法人設立代行業者を選ぶようにしましょう。
これは業者が逃げやすくするための方法だ、と穿った見方をする方がいらっしゃるかもしれません。しかし、それは見当違いです。
もし本当に逃げるつもりなら、複数の法人を維持するより、誰かから名義を借りてノミニー代理人に仕立てるほうが、よほど楽で、足もつかず、費用もかからないですから。
法人ノミニーを立てるのは、まれに悪質なお客さんが紛れ込んだ場合に備えてです。巧妙に海外法人設立業者を騙し、マネーロンダリングや脱税などの違法行為を行う場合がありますので、いざ、そういった者の犯罪に業者が巻き込まれそうになっても、それによる影響が他のお客さんへ広がらないよう、リスクヘッジしているのです。
捜査が入れば、他のお客さんの情報もすべて公になってしまいますからね。
いかがでしたでしょうか。
ノミニーサービスを利用する場合は、各オフショアの法制度に則りながら、最大限法人ノミニーを立ててくれる海外法人設立業者に依頼するようにしましょう。