中国人民銀行(中国の中央銀行)によるデジタル通貨「デジタル人民元」
の準備が着々と進められています。
深センでの実地試験につづき、来週は蘇州で第二弾の試験が行われるとのこと。
デジタル人民元の性質は紙幣の人民元と全く同じで、ユーザーが紙幣を財布に入れて持ち運んだり、紙幣を自身の銀行口座と出入金したり、他人との支払いに使うのと同様に、デジタル人民元のウォレットを持ち、自身の銀行口座や他人のウォレットと決済できる予定です。
ユーザーの視点に立つと、日本でも有名になりつつある、アリペイやウィーチャットペイなどの大手第三者決済による電子マネーサービスと同等の機能に映るため、大きな変化はございません。
一方で、管理者の視点に立つと、紙幣の人民元とまったく同じ機能であっても、あえてデジタル化するのは、以下の効果が期待できるためです。
- 現金を鋳造・印刷する費用や広い国土の隅々にまで浸透させる費用を削減できる
- 非中央集権的な暗号通貨や民間決済サービスへ消費が依存するのを牽制できる
- 民間の資金フローを管理することで、ピンポイントな政策を実施できる
- マネーロンダリング・脱税・資本の海外流出を減少できる
- 長い目で見て、新興国を中心にドル経済圏への依存から脱却できる
正式導入のスケジュール感や、関連法規などは依然として公表されておりませんが、
クリーンになることは、途上国の経済発展に不可欠な要素であり、
大国が国際社会の先頭を切って取り組んでいるテーマですので、
近い将来デジタル人民元が導入されるシナリオを、
中国本土とビジネスに取り組まれている方だけではなく、香港、マカオはじめ、
大きく中国経済圏でビジネスされている方も、事業計画にも織り込むべきです。