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オフショア法人で金融ビジネスをする場合は、必ずライセンスを取得しなければなりません。ライセンスを取るには手間暇費用がかかりますが、ライセンス無しで事業した場合のデメリットを回避できるだけでなく、さまざまなコストを補ってあまりあるメリットがあります。
今回は、オフショア金融ライセンスを取得するメリットをご紹介します。
①信用が生まれる
ライセンスがあるのとないのとでは、信用は天地の差です。
投資家の資金は良質なライセンスを持つサービス・プロバイダに集中します。ライセンスそのものがブランドの大事な要素であり、集客を容易にします。
取引先(取引銀行、システム会社、会計事務所等)にとってもライセンスは重要です。誰も無免許業者によるマネーロンダリングには巻き込まれたくありません。ライセンスは取引する上での安心材料になります。
②組織が強くなる
運用能力はライセンス審査の重要項目です。代表はじめ主要部門責任者は経験があるのか、各部門のマンパワーは十分なのか、文書管理のための業務手順やシステムは確立しているのか、事務所のセキュリティ対策はなされているか、大規模災害を想定したバックアップやリカバリーができるのか、等さまざまな視点から評価されます。
ライセンス取得を目指すのは事業を立ち上げて間もない頃ですから、最初から完璧という組織は少ないでしょう。むしろ、審査項目を丁寧に読み込んで、真剣に対応する過程で、事業をなんとか回せるくらいに組織が強くなるのが一般的です。
ライセンス審査を通して、組織を強くすることができます。これは事業リスクを下げることにも繋がります。
③事業の持続性が上がる
金融ライセンスを取得すれば、顧客や取引先との信用が生まれ、組織が強くなり、事業が成功する確率があがります。しかし、金融ライセンスは取得して終わりではなく、毎年の更新が必要です。重大なリスクが認められた場合は、特別審査も行われます。
事業でより求められるのは瞬発力ではなく持久力です。金融ライセンスを更新する過程で、オペレーションがより成熟し、より洗練され、同様のサービスを手掛ける競合よりも優位に立つことができるようになります。
競争優位性は、売上と収益、そしてその持続性に直結します。
このように、金融ライセンスを取得・維持する努力をする中で、おのずと持続的に売上・収益を上げられる仕組みができ上がることがお分かりいただけたかと思います。
次回より、問い合わせが多い業種の金融ライセンス取得要件を見ていきます。
kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com