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オフショア銀行の作り方②事業計画を作る

kaigaihoujin.hatenablog.com

 

手続きや費用、おすすめ法域について一方的に問い合わせを受けることが多い中で、ビジョンや成長戦略を示せる方には好感が持てます。色々考えて準備する意欲が見えると、真面目に回答する気になります。弊社だけではなく、すべてのオフショアサービスプロバイダーにとってそうでしょう。

 

ということで、今回は、専門家から詳しく回答がもらえるように、オフショア銀行設立の事業計画の作り方について書きます。

 

1.事業目的とビジョン

オフショア銀行が少々特殊なビジネスとはいえ、事業には変わりありません。普通のビジネスと同じように、事業計画の最初の段階で、事業目的やビジョンを明確にすることが必要です。

どんな思いで、どんな市場に参入するのか、どのような金融サービスを提供するのか、競争力や差別化要素は何かなどなど、イメージしてみることから始めましょう。

 

2.市場分析

世界中の富裕層を相手に金融ビジネスがしたい、という願望だけでは、結局だれにも相手にされません。

具体的にどこの市場で需要と供給のバランスが崩れていて、問題解決を必要としているのか、競合や目標になりうるプレイヤーはどのように事業展開しているのか、顧客のどんなニーズが成長トレンドにあるのか、どんな技術革新や法規制に近い将来対応しなければならないのか、など下調べすべきことは盛りだくさんです。

 

3.人材と組織

コアメンバーは専門的なプロフェッショナルによって構成されなければなりません。適切な人材と組織の確保が不可欠です。現時点で周りにどのような人材がいるのか、足りない人材の必要なスキルセットや経験は何なのか、採用計画や組織の構築をどうするのか、トレーニングと能力開発プログラムは何でまかなうのか考えましょう。

人材も経験もないけれど、設立代行会社がなんとかしてください、という丸投げスタンスでは、事業として成立し得ません。

 

4.リスク管理

リスク管理は、さまざまなリスクに対処し、事業の安定性と持続性を確保するための活動です。貸出業務に伴うクレジットリスク、投資業務に伴うマーケットリスク、システム障害やマネーロンダリングなどに起因するオペレーショナルリスク、様々な要素が影響し合うシンクロナイズドリスク等の種類があります。

それぞれのリスクに対してリスクの特定と評価方法、リスク管理フレームワークの策定、適切なリスクモニタリングと制御のための手段、金融セキュリティや顧客情報保護のテンプレートなど一式のメソッドが最終的に必要になります。

ここは非常に専門的で、ライセンス審査でも大事なポイントですので、むしろ頼っていただくべき分野になります。少なくとも事業計画の初稿では、リスク管理の意識があることを示してください。

 

5.資本計画

オフショア銀行の設立には、一定規模の自己資本が必要です。自己資本の最低額は、金融監督当局の規制や要件によって定められます。具体的な金額は国や地域によって異なります。また、より大きな規模や複雑な業務を行う場合は、より多くの自己資本が必要になる傾向があります。一般的には、1億円弱から10億円を見ておきましょう。

多すぎると感じてしまった方は、顧客の視点に立って「1億円も資本がない地の果ての銀行に果たして多額の資産を預けたいのか」と自問自答してみてください。

しかし自己資本は、何も一人の個人資産ですべてをまかなう必要はありません。必要な資本額を評価し、資本構成や資金調達の方法含めて、計画を作りましょう。

 

6.法的および規制要件

オフショア銀行を設立する法域によって、必要なライセンスや認可、コンプライアンス体制などが異なります。これまで事業計画を作る過程である程度法域は絞れているはずです。オフショア銀行設立の専門家に希望を伝えて、具体的な要件や取得スケジュールを共有してもらいましょう。

 

7.マーケティング戦略および集客

オフショア銀行は特殊なビジネスであるにもかかわらず、競争がグローバルで行われる熾烈な業界です。事業計画では、ブランドイメージ、顧客獲得の方法、マーケティングチャネルの選択、顧客関係管理、商品差別化や価格差別化のポイントなどを考慮しましょう。

 

8.参入障壁と持続的な成長

設立したオフショア銀行が持続的に収益拡大するには、小手先のテクニックではない圧倒的な「強み」が必要です。新参者に良質な顧客基盤や外部パートナーがないことがほとんどですので、新たな顧客層にどのように進出するか、テクノロジーをどのように活用して新商品や顧客体験を創出するか、この2つがキーになります。

また、獲得した数少ない顧客のロイヤリティを向上するために、個別にフィードバックを聞いたり、パーソナライズされたサービスや特典を提供することは、小回りのきく小規模なオフショア銀行だからできることです。弱者の特徴を強みにしない手はありません。

都合よく差別化できるだけの強みを最初から備えることは至難の業です。基本に忠実に、根気強く継続することが、競争との差となり、圧倒的な「強み」につながるのです。

 

以上が、オフショア銀行設立のための事業計画の8つの要素です。

きれいなプレゼン資料である必要はありません。理路整然としている必要もありません。荒削りでも、なんなら箇条書きでも構いません。分からないことについて無理して分かるふりをする必要もありません。

色々考えて準備する意欲さえ見えれば、良識的な専門家ならきっと有益なアドバイスをしてくれるはずです。

 

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