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アイルランド法人を作るメリット その3 - 銀行口座開設手順

 

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今回は、アイルランド法人の銀行口座開設手順について書きます。

 

1.銀行の選択

ビジネスとの親和性・各種サービスと手数料のバランス、支店の場所などを考慮して銀行を選択します。アイルランド域内で口座開設する場合は以下の銀行から選択するのが一般的です。

  • 地場大手
    Allied Irish Banks plc (AIB)
    Bank of Ireland (BIO)
  • 外資系大手
    Danske Bank Ireland
    Barclays Bank Ireland
    HSBC Bank plc (Ireland branch)
    Citibank Europe plc
  • 個人口座に強い
    Permanent TSB
    EBS d.a.c. (EBS Building Society)

 

2.必要書類の準備

法人銀行口座を開設するためには、以下の書類が通常要求されます。

  1. 会社の設立書類(憲章、会社の規則、登録証明書など)
  2. 会社の住所の証明(公共料金の請求書、リース契約書など)
  3. 役員(取締役)および主要株主のKYV書類(パスポート、運転免許証など)
  4. 税務番号(Tax Identification Number; TIN)
  5. ビジネスプラン
  6. 取引書類(すでにオペレーションを開始していれば)

 

3.申請と面接

電話かオンラインからアポイントメントを取り、対面で本人確認と面接が行われます。銀行は法人と役員の身元を確認し、マネーロンダリング防止法に則った審査を行います。ビジネスの性質(Business Nature)、事業計画、キャッシュフロー・収支予測などについてしっかり説明することも重要です。

 

4.審査

書類と面接から得た情報をもとに、銀行は内部で審査を行い、通過したら、銀行口座が開設されます。口座番号やIBANなどが提供されるまでに、通常4から6週間の時間を要します。

 

5.インターネットバンキングとカードの有効化

必要な認証デバイスやアクセスコードを元に、セキュリティの指示に従ってセットアップを完了させます。これで日常の出入金がスムーズにできるようになります。

 

6.メンテナンス

口座を維持するためには、申請した取引内容と大きく異なる動きを突如取ることがないように心がけるべきです。もし、取引先、取引頻度、取引金額などにイレギュラーがある場合は、なるべく事前に、遅くとも訊ねられたらすぐに取引書類を付して説明すべきです。最初は面倒だと思われるかもしれませんが、銀行もコンプライアンスとペナルティにがんじがらめになっています。銀行を助けて信用関係を構築すればするほど、口座の利便性が上がります。

 

アイルランド域外で口座開設する場合も、およその手順は同じです。

・事業の地理的な拡大に合わせて、ドイツやフランスでオンショア口座を開設する

・事業収益を保全するために、イギリスやマン島、スイスでオフショア口座を開設する

西欧のビジネスではこうした動き方が定石になります。

 

興味のある方はメールよりご連絡ください。有料にて相談を承っております。

kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com

 

【売却案件】セーシェル法人1社 SE00012024

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今年2件目の公開売却案件です。
 
登記法域: セーシェル
設立年月: 2023年
法人状況: 良好(休眠期間なし)
事業内容: 機械部品貿易
金融口座: マルチカレンシー送金口座
口座目的: 顧客からの売上入金および仕入先への費用支払い
売却価格: 10万円
維持費用: 相場どおり
売却理由: 事業中止

 

コメント:
グローバル金融センターにて、マルチカレンシー送金口座を持つセーシェル法人となります。設立から1年未満ですが、諸事情で事業中止となり、現オーナーが法人を手放すことになりました。

売却価格は、過去の公開案件の中で最安です。激安だと思います。初めて海外法人に挑戦してみたい方にとって優しい案件ではないでしょうか。


興味のある方はお早めに、メールよりお問い合わせください。

kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com

 

アイルランド法人を作るメリット その2 - 法人設立手順

kaigaihoujin.hatenablog.com

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アイルランド法人に関するお問い合わせが想像以上に大きかったので、少し詳しく情報提供していきます。

 

今回は法人設立手順について書きます。

通常の株式会社 Private Company Limited by Shares - LTDのケースを想定しています。

 

1.企業名の確認

アイルランド企業登記所のデータベースから、希望する企業名が既に使われていないことを確認します。

 

2.事業の種類決定

LTD(プライベート・リミテッド・カンパニー)、PLC(パブリック・リミテッド・カンパニー)、Guarantee Company(ギャランティー・カンパニー/保証会社)、Unlimited Company(アンリミテッド・カンパニー/無制限会社)から、適切な企業形態を選択します。通常はLTD(株式会社)を選択します。


3.登記情報の決定

役員、株主、登記住所などの登記簿に記載する情報を決定します。LTDの場合、監査役はなくても構いません。

 

4.定款の作成

定款には、会社の目的、会社管理に関する規則、株式の取り扱いについて記載します。通常は、秘書役(Secretarial Service)がフォーマットを持っており、必要に応じてカスタマイズします。

 

5.登記手続き

CRO(Company Registration Office/登記局)が提供するシステムを使用して、オンラインで登記手続きを行います。すでに準備した定款、会社役員や株主の詳細、登記上の住所の証拠(リース契約書のコピーや公共料金請求書など)を提出し、法人登記のための手数料を支払います。

 

6.税務登録

Revenue Commissioners(税務局)で、企業税、付加価値税、雇用者としてのPRSI(Paying social insurance/社会保険)の登録を行います。

 

7.登記の承認

必要書類が承認された後、CROから会社登記証を受け取り、事業活動を開始します。その後は、毎年、会社の決算報告及び年次報告書を提出して、事業活動を継続します。

 

次回は銀行口座開設について書きます。

 

興味のある方はメールよりご連絡ください。有料にて相談を承っております。

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eKYCサービスの導入 その3

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その後、複数回の審議を経て、某国のeKYCガイドラインが制定、施工されました。

 

ルールを作る側の動き方について理解したつもりでいましたが、実際に自分がその立場になって初めて見えたことも多くありました。

経済的な便益だけでなく、外交関係、公平性、テクノロジー、プライバシーなどの視点から、ルールの生成過程を体験できたことは、ルールというものの「可能性」と「制約」を深く知る上で、とてもよい学びの機会となりました。

 

よりよいサービスをクライアント様に提供するのが楽しみです。

 

裏ワザは数に限りがある

海外法人の利用を検討するとき、正攻法ではなく裏ワザ的なものを期待される方も少なくないでしょう。

 

合法の範囲内で、自分自身の経済的利益を最大化するために、よりよい方法を見つけようとする姿勢は間違っておらず、ビジネスパーソンならむしろそうあるべきでしょう。

 

しかし、この姿勢を実際の運用に落とし込む際に、留意すべきことがあります。

 

それは、裏ワザに数に限りがあるということです。一人ひとりの取り組みが合法で、正当に利益が得られるものであっても、同じことをする人が増えれば、取引のパワーバランスや社会の公平性がおかしくなることがあります。

 

そのため、裏ワザが禁止されて利用者全員が不利益を被ることがないように、弊社では口座開設・スキーム開発・投資仲介などにおいて、意図的に件数を絞っていることがあります。

 

キャパ不足で対応できないのは、時間の制約ではなく、件数の制約がボトルネックになっていることがあります。その場合は、ウェイティングリスト(順番待ち)やダイナミックプライシング(変動料金制)を設けても、意味がありませんので、歯がゆい思いをしながら、サービスの提供をお断りしております。

 

良質なサービスを持続可能なものにするための措置としてご了承のほど、よろしくお願い致します。

 

 

業務連絡 2024年 ゴールデンウィーク休暇

海外法人サポートセンターでは、ゴールデンウィーク期間に合わせて
以下のとおり、休業させていただきます。


2024年5月1日~2024年5月6日


メールでのご連絡はなるべく休業中でもご回答させていただくように致しますが、
実務が発生する内容については、関係国・地域の法定休暇の影響で、対応が遅れる可能性がございます。
 
ご不便をお掛けしますが、ご了承のほど、よろしくお願いいたします。

 

【売却案件】セーシェル法人1社 SE00002024

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今年1件目の公開売却案件です。
 
登記法域: セーシェル
設立年月: 2019年
法人状況: 良好(休眠期間なし)
事業内容: Eコマース
金融口座: 銀行口座1、決済口座1
口座目的: マーケットプレイスからの売上入金および仕入先への支払い
決算状況: 正式決算
売却価格: 50万円―100万円
維持費用: 相場どおり
売却理由: 事業撤退

 

コメント:
グローバル金融センターにて、銀行口座と決済口座を持つセーシェル法人となります。
Eコマースビジネスを素早く立ち上げたい方に適しております。

売却価格は非常に魅力的で、一時クローズド案件として扱うことも考えましたが、
多くの方に海外ビジネスに接する機会を与えたいという売り主の意向により、一般公開させていただきました。

 

興味のある方はお早めに、メールよりお問い合わせください。

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「香港かシンガポールか」ではなく「香港もシンガポールも」 その2

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ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の2023年「グローバル・ウェルス・レポート」によると、2022年末時点でスイスの銀行が管理するオフショア資産額は2兆4千億USドル、香港は2兆2千億USドル 、シンガポールは1兆5千億USドルとのこと。

 

2027年までに、シンガポールに預けられるオフショア資産は毎年9%、香港は7.6%と予想され、伸び率が3%のスイスは首位の座をアジア勢に奪われる公算が大きいです。

 

マクロ観点では、ウクライナやガザでの紛争、世界的な慢性インフレによって、世界全体で資産の国外移転が加速しています。

その中で、クレディ・スイスの破綻、中国の富の成長鈍化といった要因が、順位の入れ替わりに影響しています。

 

日本人に近年人気で弊社も力を入れているドバイ(UAE)も順位を上げると予想されます。しかしながら、金融商品の品ぞろえ、投資の専門知識、ウェルスマネジメントサービスの多様性、裾野産業の深さ、といった側面から比較すると、やはりスイス、香港、シンガポールの御三家に大きな優位性があります。それが取り扱い金額の違いに如実に現れます。

 

そんな御三家のうちの2箇所に、半日で行けてしまうのは、日本人にとって非常にラッキーなことです。

 

「香港かシンガポールか」ではなく「香港もシンガポールも」

「香港かシンガポールか」

海外口座を作るときも海外法人を作るときも、誰しもが必ず一回は悩む問い。

 

・中国事業をするなら香港

・グローバルに証券や債券に投資するなら香港

・非居住者でも口座開設しやすいのは香港

・東南アジア事業をするならシンガポール

・ファミリーオフィスを利用するならシンガポール

・政治的リスクが低いのはシンガポール

 

いままでなら弊社もこのようにお答えしてきましたし、

同じようにお答えする業者も多いでしょう。

 

しかし、最近この問い自体が変わりつつあります。

フィンテックの成熟と人材の流動によって、

香港とシンガポールのいいとこどりができるシーンが増えてきたたからです。

 

シンガポールの金融機関の支援を受けて、香港でマルチカレンシーの決済口座を持つ

香港の貴金属会社を通して、シンガポールの仮想通貨取引所で換金する

香港のオフショアスキームで、シンガポールのカストディアンサービスを利用する

たとえば、こういった「香港もシンガポールも」の事例が出てきています。

 

業界として相乗効果のあるインフラやスキームの構築が進んでいるため、

利用者が、ゼロから両法域で、法人や口座を作る必要はなく、

新たなインフラやスキームに乗るだけで、

利便性・匿名性・収益性のより高いサービスを受けられるようになります。

 

「香港もシンガポールも」が広がれば、アジア全体として金融がより強くなります。

これは、成長市場で経済的に豊かになる努力をしたい、

その過程で人生も充実させたい日本人にとってもいいことです。

 

ご質問、ご要望はメールより有料で承っております。

kaigaihoujin.yamaguchi@gmail.com

 

【資金洗浄】海外個人口座開設詐欺【ご注意ください】

最近耳にする新手の詐欺、想像以上に凶悪でしたので、注意喚起します。

 

具体的には、香港とシンガポールで個人口座開設に誘い、

口座が完成したらマネーロンダリングに悪用されるというもの。

 

詐欺の手順は以下の通り。

・SNSのショート動画を使って集客する

・パスポートと住所証明があれば個人口座が即日作れると手軽感を演出する

・外貨預金で高い利回りを期待させる

・サポート費用がきわめて安い

・現地在住経験が長い担当者にアテンドさせて安心させる

・カード有効化など現地で行う事務手続きのためにログイン情報を預かる

・口座が有効化されたらそのまま悪用されてしまう

 

海外個人口座開設詐欺が急速に広がった背景には、次の環境の変化が考えられます。

・コロナ以降香港もシンガポールも口座開設のハードルが下がった

・個人口座開設が法人口座開設よりも簡単になった

・世界を股にかける会社経営者よりも個人投資家のほうが騙しやすい

・SNSを通して情報伝達効率があがった

・個人口座は少額の資金移動について厳しい審査が行われない

・個人口座は決算や監査の義務がないので記録が残りにくい

 

口座開設の費用や海外投資の資金を騙し取られるのは痛いですが、

マネーロンダリングに巻き込まれて金融機関から信用を失い、

最悪実刑判決を受けるリスクを被るのは、本当にひどい話です。

 

今のところ被害にあっているのは中国人とタイ人です。

日本人が標的となっている話はまだ聞いておりませんが、

初めて海外投資や海外事業を考えている方は、特に注意してください。

 

過去にあった詐欺情報をご参考までに、リストアップしました。

kaigaihoujin.hatenablog.com

 

kaigaihoujin.hatenablog.com

 

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kaigaihoujin.hatenablog.com

 

仕事のご依頼や個別相談をされたい方は、メールにて受け付けておりますので、お気軽にお問い合わせください。

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